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Acne Studios:1 本のデニムから北欧ミニマリズムの象徴へ

FASHION / 2025-08-25

** Acne Studios(アクネ ストゥディオズ)**と聞けば、すでにクローゼットに愛用アイテムがある人も多いはず。でも実は、このブランドの出発点はファッションではなく、デザインや映像、出版などを手がける マルチメディア・クリエイティブ集団だったのをご存知でしょうか? しかも、独自の世界観を反映した雑誌 『Acne Paper』 まで発行していたのです。

いまや Acne Studios は 北欧ミニマリズムを代表する存在。Kylie Jenner、Rihanna、BLACKPINK の Jennie・Lisa、ILLIT など、世界のセレブやアイドルたちが愛用することで、その人気はさらに加速しています。

ここからは、 Acne Studios のブランドストーリーを 6 つの視点から紐解いていきましょう。

「Acne」の本当の意味は?

最初に「Acne」と聞くと「ニキビ?」と思う人も多いでしょう。けれど、名前の由来はもっとユーモラス。

1996 年、創設者の Jonny Johansson(ジョニー・ヨハンソン) が仲間と共に立ち上げた当初の名前は Associated Computer Nerd Enterprises(コンピュータオタク連合)。その後、正式に Ambition to Create Novel Expressions(新しい表現を創造する野心)と再定義されました。

つまり、この名前自体が「常識を覆す」というブランド精神を体現しているのです。

クリエイティブ集団からファッションブランドへ ― 偶然の転機

もともと Acne Studios はファッションブランドではなく、グラフィックデザインや広告、映像制作、ウェブ開発など幅広く活動するクリエイティブ・スタジオでした。

そんな中、1997 年に Johansson が試しに作ったのが 赤いステッチ入りのデニム 100 本。友人や関係者に配ったところ、『ELLE スウェーデン版』や『Wallpaper*』誌に取り上げられ、一気に注目を浴びることに。これが Acne Studios がファッションへシフトするきっかけとなりました。

Acne Jeans の伝説を生んだ 1 本のデニム

当時主流だったブーツカットとは一線を画す 赤ステッチのストレートデニムは瞬く間に話題に。

1998 年、デザイナー Ann-Sofie Back の協力を得て、Johansson は Acne Action Jeans という最初の本格的なコレクションを発表。その後、ブランド名は Acne Jeans に改められ、世界へと羽ばたいていきました。

「無表情ロゴ」が示す北欧のクールさ

 Acne Studios のアイテムを手にした人なら見覚えがあるはずの 「: |」フェイスロゴ。

2 つの点と 1 本の線で構成されたシンプルな表情は、スウェーデン人が大切にする **感情を抑えた中庸(Lagom)**の精神を象徴。2017 年の Face Collection で初登場し、Tシャツやスウェット、キャップなどが即完売しました。

「無表情ロゴ」は、今では 北欧ミニマリズムの象徴とも言える存在です。

Acne Pink:低彩度ピンクがつくる美学

Barbiecore や PP Pink が流行るよりずっと前、 Acne Studios はすでにピンクを自分の色にしていました。

ブランドを象徴する 淡いローサ・ピンク(Acne Pink/ミレニアル・ピンク) は、紙袋からウェアまで幅広く使われ、控えめだけれど洒落感のある雰囲気を演出。今では Acne Studiosと聞けば、このピンクを思い浮かべる人も多いでしょう。

『Acne Paper』:ファッションを超えた文化発信

2005 年に創刊された 『Acne Paper』 は、瞬く間にカルト的な人気を獲得しました。

内容はファッション誌にとどまらず、アート、写真、建築、文学、哲学など多岐にわたり、毎号ひとつのテーマを掲げて多彩なクリエイターが参加。2005〜2014 年の間に 15 号が刊行され、2021 年には 500 ページ超の書籍×雑誌ハイブリッド版として復刊。

 Acne Studios がただのファッションブランドではなく、カルチャーそのものを創造する存在であることを証明しました。